Alchemy のフィルタの種類

Alchemy には全部で 15 のマルチモード・フィルタ・モジュールがあります。これらはソースレベルで使用することも、ルーティングされるすべての信号を処理するメインフィルタとしても使用できます。ソースまたはメインフィルタの段階で使用するフィルタは各ボイスに個別に作用します。エフェクトセクションにもフィルタを挿入できます。ただし、シグナルパスのこの位置ではフィルタはモノフォニックになり、すべてのボイス(信号全体)に同時に作用します。

メインフィルタと MMFilter エフェクトモジュールでは多数のフィルタ・タイプから選択できます。

Alchemy のフィルタ・タイプ:ローパス、バンドパス、ハイパス

ローパス(LP)フィルタは、指定したカットオフ周波数を下回る信号成分を通過させ、この周波数を上回る信号成分は減衰させます。バンドパス(BP)フィルタは、カットオフ周波数の周囲の帯域に入る信号成分を通過させ、この周波数帯を上回る信号成分と下回る信号成分は減衰させます。ハイパス(HP)フィルタは、指定したカットオフ周波数を上回る信号成分を通過させ、この周波数を下回る信号成分は減衰させます。

Alchemy には複数の LP、BP、HP フィルタ設計があり、それぞれに大きな特徴があるので、目的に合わせて選択できます。使用できる LP、BP、HP フィルタには以下が含まれます:

3 つの主要なフィルタコントロールには、すべてのフィルタ・タイプに共通する標準的な機能があります。

Alchemy のフィルタ・タイプ:フォルマント、ノッチ、ピーキング

フォルマントフィルタはバンドパスフィルタのように機能しますが、非常に狭い帯域幅を対象とすることがあります。これは、ギターのホロウボディや、声道の形状(別の母音を発音するために発話の途中で調整される)によって生じるフォルマント、または固定されたレゾナンスを模倣するために設計されています。

ノッチフィルタはレゾナント周波数周辺の狭い帯域をカットします。残りの信号が受ける影響は最小限にとどまります。

ピーキングフィルタはレゾナント周波数周辺の狭い帯域をブーストします。残りの信号が受ける影響は最小限にとどまります。

Alchemy のフィルタ・タイプ:コムフィルタ

コムフィルタは、オリジナルの信号と、ごく短い間隔で遅延させたこの信号の 1 つまたは複数のコピーをミックスします。一部の周波数ではこれらの信号が合わさることで位相の打ち消しが生じます。それ以外の周波数では強調が生じます。この結果、レゾナントピークが複数ある、尖った周波数スペクトルになります。グラフでこれらのピークが櫛(comb)の歯のように見えることが、このフィルタ・タイプの名前の由来です。

Alchemy は、それぞれが独自の特徴を持つ、3 種類のコムフィルタを備えています。自分の好みと作ろうとしているサウンドのタイプに合うものが、最良の選択です。とは言うものの、いくつかの際立った特徴があるため、決めるときに役に立つかもしれません。

Comb Pos はディレイライン上の正のフィードバックを使用します。一方、Comb Neg は負のフィードバックを使用して、あまり極端にならない効果を生み出し、多くの場合は鈍い音質になります。この 2 つのコムフィルタはあまり強力ではなく、レゾナンスはかなり緩やかに増加します。これは、あまり劇的な効果が必要ないときや、サウンドから励振器の信号特性がよく聞こえるようにしたいときに役立つことがあります。後者は注目すべき点で、より写実的にモデリングされたサウンドを生成したいときにこの特徴が有効な場合があります。

Comb PM はディレイライン上の正と負の両方向へのフィードバックを使用します。レゾナンスコントロールには両極があり、左側の負(鈍い音色)から右側の正(明るくて尖った音色)まで自由にシフトできます。このコムフィルタは、励振器のインパルスが聞こえにくく、櫛のようなピークがより目立つ、クラシックな明るい Karplus-Strong スタイルのサウンドを作り出すのに便利です。極端な設定はフィードバックにつながる可能性があるため、レゾナンスレベルには注意してください。レゾナンスレベルはゼロから始め、少しずつ増減して適切な効果の強さを見つけてください。

音源をモデリングする際には、コムフィルタはマスター・フィルタ・セクションやエフェクトセクションで使用するのではなく、ソースフィルタとしての使用に最も適しています。マスター・フィルタ・セクションでコムフィルタを使用することもできますが、追加の処理にはメインフィルタを使用することをお勧めします。また、コムフィルタはエフェクトセクションでも使用できますが、ポリフォニックになりません。シグナルパス内のより手前の位置に配置した方が良い結果が得られます。

Alchemy のフィルタ・タイプ:リングモジュレーション

リングモジュレーションは変調信号と搬送信号を掛け合わせるプロセスです。変調信号の各周波数成分は搬送信号の各周波数成分と作用し合い、2 つの側波帯を生み出します。これらの側波帯の周波数は両者(搬送信号と変調信号)の周波数の和と差です。フィルタが RingMod タイプに設定されている場合、フィルタに入る信号が変調信号として働き、搬送信号はフィルタによって内部から供給されます。

Alchemy のフィルタ・タイプ:ディストーション

Alchemy のフィルタにはいくつかのディストーションエフェクトがあります。

注記:ソースおよびメイン・フィルタ・セクションで作成されるディストーションエフェクトはポリフォニックです。各ボイスには個別にディストーションがかけられます。これによって、コードを弾いたときの不要な相互変調エフェクトが回避されます。一方、信号経路の最後に配置されたエフェクトセクションのディストーションモジュールは、すべてのボイスのミックスを処理します。

フィルタ・タイプがディストーションエフェクトに設定されているとき、フィルタコントロールは以下の通りに機能します:

Alchemy のフィルタ・タイプ:コンプレッサと FM

これらのツールは信号経路のフィルタ段階でクリエイティブなオプションを提供します。専用の FM シンセサイザーとは異なり、Alchemy には、FM 専用にあらかじめ設定されたアルゴリズムやモジュレーションマトリックス設定はありません。ただし、さまざまな直列構成や並列構成で膨大な数の FM フィルタを実行するためのオプションを備えています。Alchemy の FM には従来の FM シンセサイザーとは異なる特徴もあります。Alchemy の FM は、位相ではなくオシレータの周波数をモジュレーションするアナログシンセサイザーの FM に似ています。そのため Alchemy の FM は、サウンドにさまざまな種類の効果と「自然」なディストーションのかかったテクスチャを加えるのに最適です。

フィルタ・タイプが「Compressor」に設定されているとき、フィルタコントロールは以下の通りに機能します:

フィルタ・タイプが「FM」に設定されているとき、フィルタコントロールは以下の通りに機能します: